壊れていく彼 2
そんな1年前の彼は、
独立前から一緒にやってきた相棒を独り立ちさせる為に、
会社を分けようとしてるほどに、野心があった。
でも、その頃には、
社長を、相棒に譲ると話してた。
相棒は、一緒にここまでやってきたんだから、お前が辞めるくらいなら、会社は畳んでしまおうと答えたらしい。
嫁と戻りたいのかそうでないのか、
離婚したくないのかそうでないのか、
もう、自分でも分からなくなってる様子だった。
病院へ行くことを勧めたし、彼自身も
「病気なのかな、病院へ行った方がいいのかな」と言ってた。
毎日、似たようなやり取りの繰り返し。
優しく、わかるよ。辛いよね。嫁さん、酷いよね。娘さん、可哀想よね。
と、慰めても、何にもならない。
俺なんかいなくなった方がいい気がする。と言う時には
私には必要な人だと伝えた。
彼に救われたいろんな彼の言葉。それによって私が前向きになれた話もたくさんした。
だけど、それでも変わらない彼に
今度は少し腹が立った。
こんな人じゃなかった。
私がこれまでもこの先も、見ていたいと思った背中はこんなんじゃなかった。
何があろうと、どんな事があろうと、自分の力を信じて諦めない人だったはず。
どんなに堕ちても、心折れても
後ろは見ない。どうすれば前に進めるか、じっとその時を待ち、立ち上がろうとする人だったはず。
私は、きつい事を言った。
「娘さんは、次に会えることを信じて楽しみにしてるはずなのに、
いなくなったら、彼女を悲しませる事になるんだと思わないの?
機嫌次第で、八つ当たりするような母親の元で育っていけば、いつか、そこから逃げたくなったり愚痴を言いたくなる。
その時にあなたがいなかったら、彼女はどこに居場所を求めればいいの?
2人でどこかへ行ってしまいたいほどに大事な娘さんが、行き詰まった時に受け止めるためにも、生きていなきゃいけないと思わないの?
本当に大切なら、いざと言う時に守るために、守れる自分でいようと思わないの?」
「わかってるよ。
今のあなたに、こんな厳しい言い方をする私は最低だと思う。
怒ってくれていい。嫌ってもいいよ。
私への怒りをエネルギーにして立ち上がってくれるなら、私はそれでいい。
娘さんにとって大好きなパパのままで いるために、立ち上がろうと思わないの?
あった時にガッカリさせたいの?」
そのメールを送ってからは、
彼からメールが来なくなった。
頭にきたのかな。
嫌われたかな。
私に偉そうに言われて逆ギレしちゃったかな。
それでもいい。
娘さんの為に生きててくれるなら、私はもう二度と会えなくてもいい。
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