それから一週間ほどして、

彼の母親の再婚相手が私に知らせてくれた。

彼の母親が、私に報告して欲しいと言ったらしい。

彼が死んだと。

警察の話では、

会社は順調だったけど、夫婦仲が上手くいかず、家に帰れてなかった事。

地元の山の道路脇の木で首を吊っていた。

座った状態で、発見されたと。

離婚は成立していなかったから

火葬までの手続きは、嫁の父親が行った。

でも、お骨を持っていたくないからと、嫁が、彼の父親(父親も再婚してる)宅へ持って行ったと。

困った父親が、母親へ連絡してきたから、現在、お骨は、母親と住んでるその再婚相手の家にあると。

お骨がある。

間違いなかった。本当に死んでた。

彼の父親が

「あいつは骨は海に撒いて欲しいと言ってた」と伝えたらしいけど、

何も知らない母親も再婚相手も、

呆れた様子だった。

本当なのに。

本当に、海に撒く事が、彼の望みだったのに。

二度と会いたくない毒母親。

出来れば捨てたいと思っていたその苗字。

そして、絶対に、その名前の墓に入りたくないから

海に撒いてほしいと言っていた。

彼が1番、拒否していた母親の元に返された。

彼のトラウマになり、嫁の中に垣間見えた母親と同じ臭いに苦しんだ彼。

どうして、あの時に返事をしなかったんだろう。

どうして、どうして。

二度と後悔しないと思ってたのに。

彼だけは、そんな事をしないと思い込んでしまってた。

何故、私はあんなメールを送ったんだろう。

ずっとずっと、優しくひたすら、聞いていればよかった。

どこにも弱さを見せない人だとわかっていたのに。

わかってたのに、何故、立ち上がって欲しいと、焦ったんだろう。

あの山だったんだ。

会いに行ける場所だった。

どうして聞き出さなかったんだろう。

どうして。

どうして。

どうして。