壊れていく家庭 3
話を聞いた。
彼の目から涙が流れ落ちるのを見た瞬間、思わず抱きしめた。
奥さんに対する怒りと、
娘さんに対する胸の痛み。
決して、こんな今の様子を仲間たちの誰にも見せてないだろう、一人で抱え込んでいたんだと思うと、やるせなかった。
彼は
「でも、mioちゃんは、俺の話しか聞いてないからね。嫁の話と両方聞かないと、どちらが悪いとか、言いきれないと思うよ」
と言った。
「ううん、奥さんのご両親も周りの人も、みんな奥さんの話だけを聞いて奥さんの味方をしているんでしょ?
じゃあ、私は、あなたの話だけを聞いて
あなたの味方になる」
と、答えた。
その後はまた、いつものように従業員の話もしたし、笑いもした。
だけど
だけど、
まさか、この日が、彼と会った最後の日になるなんて思ってもみなかった。
彼に抱かれるのも
彼の声を聞くのも
彼に触れるのも
この日を最後に、二度と戻ってこなかった。
もっと一緒にいれば良かった。
まだ時間はあったのに、どうして帰ってしまったんだろう。
次の日からは
ひたすらメールのみのやり取りだった。
滅多に連絡とりあわない私たちが、
次の日からは、一日に何度もメールのやり取りがあった。
数日後、奥さんから来たメールを転送してみせてくれた。
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