無いものは無い。存在しないものは「無」
一回りも年下の親友が亡くなった事を彼に話した時、
「おれは、あの世とか信じてないから、
そんなに悲しんでたら親友も心配するよ。とか、元気ださないと見守ってくれてるよ。とかは、言えない」
と言われた。
彼自身、子供を亡くした親や、
ついこの前まで、一緒に仕事していた人を亡くしたり、見たりしてきた。
自分より若いから、先に死ぬことは無い。なんて事はありえないんだ。
そして、居なくなったら、もう居ない。
無いものは無い。
存在しないものは、「無」なんだ。
引きずっても、どうしたって、仕方ない。
どうにもならない。
無いんだから。
と言われた。
彼は、余命宣告を受ける死に方がしたいと言った。
期限がわかれば、その間に会いたい人に会い、伝えたい人に伝えたいことを伝えて
明るくさよなら出来る。
その後の準備もできるから、遺された人への事も少しは対処していける。
「象の背中」という本を思い出した。
余命宣告を受けた主人公が、遺された家族の生活を計算し、息子へ託すべきことを託し
最後に会いたい人に逢いに行く。
愛人にも伝える。
死を恐れる人にとっては、近づいてくるその日に怯えるようになるのかもしれないけど、
彼の考え方も、彼らしいと思った。
その時は、まさか、その何ヶ月後に彼自身がいなくなるなんて、お互いに思いもしていなかった。
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